2013年4月23日火曜日

壊れたレコード


 前回はABCモデルを紹介しました。

 少し復習すると、Aは誘発要因(Antecedents)

 Bは行動(Behavior)

 Cは結果(Consequences)

を示します。

 行動を起こすためには誘発要因を強める必要があり、このためには人に「これこれをやる」と宣言したり、うまく行ったときのことを想像してモチベーションを高めたりすることが有効です。

 また、行動を継続するためには、結果をポジティブにとらえて自分で自分を褒めてあげたり、自分へのご褒美にちょっと美味しいものを買ってあげたりすれば有効です。

 このように、前回は自分が行動をおこすための方法について考えてみましたが今回は、他人に行動を促されたときのお話です。

 引っ込み思案なあなたには、自分が人に頼むよりも、人に「○○してください」と頼まれる方が多いでしょうね。

 で、気の進まないお願いで断わるのに苦労するわけです。

 今回は、こういった場合の断り方についてです。

 図々しく頼みごとをする相手は、色んなテクニックを駆使してあなたに仕事を押し付けようとします。

 それに対しては、まず心構えが大事です。

 相手を尊重しながらも、自分の気持ちに忠実な対応をする、と普段から心に決めておくことです。

 そうすると、相手に対する態度が自ずから決まってきます。

 すなわち、感情的にならず冷静に対処します。

 そして、相手からしつこくたのまれても粘り強く断ります。

 具体的には、ポイントとなる結論を繰り返します。

 ということで、例題を一つ。

 今日は、あなたのご両親が田舎から上京して会いに来るため、会社を定時に退社して、駅まで迎えにいかなければなりません。

 ところが、定時近くに上司がやってきて残業をしてくれと言いました。

 その時の例です。

上司「悪いけど、○○の資料、明日の朝までに作っておいてくれない?」

あなた「すいません。でも、今朝申しました通り、今日は定時に帰らなければならないんです。」

上司「本当は私がしようと思っていたんだけど、別の仕事が入って出来なくなったんだ」

あなた「それは大変ですね。でも、私も今日は定時に帰らなければならないんです。」

上司「君は優秀だから、こんなの大してして時間がかからんだろう?」

あなた「でも、今日は定時に帰らなければならないんです。」

上司「なんでそんなに冷たい事言うんだ!」

あなた「申し訳なく思います。でも今日は定時に帰らなければならないんです。」

上司「しょうがないな。じゃあ他の人に頼むよ」

・・・

 ここでの上司はなかなかのテクニシャンで、手をかえ品をかえてあなたに残業するよう迫ってきます。

「本当は私が・・・」というのはごまかしの論理、

「君は優秀だから・・・」というのは論理のすり替え、

「なんでそんなに・・・」というのは口論のけしかけ、という技術です。

 これらの話に乗ってしまうと、いつの間にか自分の主張が弱くなり、相手の言い分が強まってしまいます。

 これに対してあなたがしゃべっているのは、基本的には「今日は定時に帰らなければならない」と言っているだけです。

 ですが、これを繰り返す事により、あなたは上司に自分の強い意志を示すことが出来、主張が強まります。

 それとともに、あなた自身も自分の言っている事に確信が満ちて来て、自信を持って断れるようになってくるのです。

 優柔不断でノーと言えない、と悩んでいる方は、お試しになってみることをおすすめします。

 ところで、上記の例は自分より立場の強い人に歯向かっています。

 かなり強い覚悟がないと出来ませんね。

 この、同じ言葉を繰り返す方法も、簡単そうに見えて実際にやるとなると、なかなか気が引けるかもしれません。

 しかし、今後のあなたの自律的なコミュニケーションがかかっているのです。

 恐れず、実行しましょう!

 ちなみに、今回の方法は、同じ言葉ばかり繰り返すことから、「壊れたレコード」と呼ばれています。

 「アサーティブネス」というコミュニケーション手法の中の一つです。

 次回は、このアサーティブネスについてより詳しく述べていきます。

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